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男性妊活が大切な理由
「妊活って、どうしても女性が主体ってイメージが強いけど、男性の役割も実はすごく重要なんだよね?」
「そうなんだ。妊娠は“ふたりのプロジェクト”。男性側の体調や生活習慣も、妊娠の可能性に大きく影響するって、実はあまり知られていないんだよ。」
なぜ男性妊活が大切なの?
- 男性側にも不妊の要因がある可能性:男性因子が単独で関与する例や、女性因子と重なる例があることが報告されている
- 精子の質は生活習慣で変わる可能性:喫煙・ストレス・睡眠不足などが関係するという報告あり
- 治療ステップが遅れるリスクも:原因の特定に時間がかかると、選べる治療の幅が狭まる可能性あり
- ふたりで協力する意識が重要:男性が参画することで、女性への負担軽減や良好なパートナー関係を支える力にもなる
「ストレスや睡眠不足が関係することもあるんだ!」
「そうそう。射精できているから大丈夫と思いがちだけど、体調が関係する場合もあるんだよ。」
精子の質と妊娠の関係
「“精子の質”ってよく聞くけど、実際どんなことで評価されるの?」
「代表的には【精子数】【運動率】【形態(奇形率)】、それから最近注目されている【DNA損傷】。これらを合わせて“精子の質”とすることが多いんだ。泌尿器科や不妊治療を行っているクリニックで検査することもできるよ!」
「そうなんだ。費用はどれくらいかかるの?」
「費用は自己負担となることが多く、自費診療の場合は医療機関ごとに異なるよ。検査内容も含めて事前に確認すると安心だね。」
精子の質を左右する主な項目
- 精子の数:1mLあたり1600万以上(WHO第6版の目安)
- 総運動率:42%(前進+非前進;WHO第6版の目安)
- 前進(直進)運動率:30%(WHO第6版の目安)
- 正常形態率:4%(WHO第6版の目安)
- DNA損傷:ストレス・加齢・喫煙などが影響(評価法により解釈が異なる場合あり)
※WHO第6版の数値は診断の絶対閾値ではなく「臨床判断の参考となる目安」です。施設・測定法により解釈が異なる場合があります。 また、評価は施設や検査法によって実施有無・解釈が異なるため、担当医と結果の見方を確認してください。
「確かにこれは検査しないとわからないやつだね笑」
「そうそう。“自分は大丈夫”と思ってても、検査で初めて気づくことも多いんだ。妊活の第一歩として検査しても損はないよ。」
POINT
「ちゃんと射精できてるから、自分は大丈夫」と思っていませんか?
精子の状態は、見た目や量では判断できません。射精があっても、以下のようなトラブルが隠れていることがあります。
- 精子の運動率が低い
- 精子の数が極端に少ない
- 奇形率が高い
- DNAが損傷している
「自分は大丈夫」と決めつけず、一度検査してみるのも妊活の第一歩です。
男性不妊の主な原因とは?
「男性不妊って生活習慣以外にも原因があるって聞くけど、実際どんなものがあるの?」
「精子の数や運動率が低い“造精機能障害”が最も多いんだ。他にも、精管が詰まる“閉塞性無精子症”やホルモン異常、逆行性射精など色々あるよ。」
男性不妊の主な原因
- 造精機能障害:精子の数や運動率が低い・奇形率が高い
- 精索静脈瘤:精巣の血流が悪くなり精子の質が低下
- 閉塞性無精子症:精子の通り道(精管)が塞がれている
- ホルモン異常:下垂体や精巣のホルモン分泌異常によるもの
- 逆行性射精:射精した精子が膀胱側に逆流してしまう
- その他:性機能障害・感染症・薬の副作用など
「なるほど…射精できてても、精子がうまく作られていなかったり、通れない場合もあるんだね。」
「そうなんだ。だから“見た目や量だけで判断しない”ことが大切。気になる場合は早めに泌尿器科や不妊治療専門クリニックで相談すると安心だよ。」
男性妊活における検査と治療の流れ
「検査ってどんなことするの?いきなり治療ってことになるのかな…?」
「基本は“検査”からスタート。結果次第で追加の検査や治療に進むけど、段階的に進められるから安心して大丈夫だよ。」
検査の主な流れ
- 1. 問診・診察:既往歴や生活習慣、性交渉の頻度などを確認
- 2. 身体診察:精巣や精索を触診し評価
- 3. ホルモン検査:FSH・LH・テストステロンなどの血液検査
- 4. 陰嚢超音波検査:身体診察だけでは不明な病変を確認
- 5. 染色体検査:精子の産生が極端に低下していないか確認
※検査項目・実施回数・判定基準は医療機関や測定法により異なる場合があります。結果のばらつきを考慮し、複数回の評価が行われることがあります。
「思ってたより丁寧に段階を踏んで進めるんだね。治療はどんなことをするの?」
「原因に応じて、サプリや薬、手術、体外受精など色んな方法があるんだ。軽度なら生活改善だけで改善することもあるよ。」
治療のステップ(例)
- 生活習慣の改善:禁煙・食事改善・ストレス対策など
- 薬物療法:ホルモン補充・排精改善薬など
- 手術療法:精索静脈瘤の手術、閉塞解除など
- 生殖補助医療:人工授精(AIH)・体外受精(IVF)など
「検査が怖い・不安…恥ずかしい」そんな時は?
「検査が大事なのはわかるけど、ちょっと怖いっていうか…正直、不安なんだよね…。恥ずかしいし。」
「うん、そう感じるのは当然。でも女性も婦人科で同じように検査をしているし、みんな気持ちは一緒!二人で一緒に乗り越えないといけないことが多いのが妊活。区切りをつけて病院に行くタイミングを決めておくといいかも!」
POINT
「まだ様子を見たい…」という気持ちは自然なこと。でも、不安を抱えたままではストレスが増えてしまいます。
例えば、次のような“区切り”を自分たちで決めておくと気持ちが楽になります。
- 「半年以内に妊娠しなければ病院へ行く」
- 「次の排卵周期でうまくいかなかったら検査する」
- 「年内に結果が出なければ一度医師に相談する」
妊活は長期戦になることも。あらかじめルールを決めておくことで、夫婦で話し合いやすくなり、ストレス軽減にもつながります。

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「妊活ってきくと女性のことばかりイメージしちゃうけど、男性側ができることって検査以外に何かあるのかな?」
「生活習慣の見直しがとても大事だよ。精子の質は毎日の積み重ねで大きく変わるから、妊活中の男性は意識しておきたいポイントなんだ。」
見直したい生活習慣
- 睡眠不足:ホルモン分泌に影響し、精子形成に悪影響
- 食事の乱れ:亜鉛・ビタミンC・葉酸などの栄養が不足しやすい
- 運動不足:適度な運動で男性ホルモンが活性化
- 喫煙・飲酒:精子のDNA損傷リスクを高める
「なるほど…。悪い生活習慣って、思い当たることが多いな…。」
「それに加えて、NG習慣もあるから注意してほしい。特に高温環境は、精巣にダメージを与える可能性があるんだ。」
避けたいNG習慣
- 高温環境の長時間利用:ノートPC膝上使用、サウナ、熱い風呂など
- 締め付けの強い下着・ズボン:通気性が悪く温度がこもりやすい
- 慢性的なストレスや睡眠障害:ホルモンバランスを乱しやすい
「知らないうちにやってしまってることが多いんだね…。できるところから改善していくのがよさそう。」
「“完璧”を目指すより、少しずつできることを増やしていくことが大切だよね。」
精子の質は“すぐには”改善しない?
「生活習慣を見直せば、精子の質ってすぐよくなるのかな?」
「残念ながら、すぐには効果が出ないんだ。精子は1回つくられるのに約3か月かかるといわれている。変化を実感するには時間が必要なんだよ。」
POINT
- 精子は約3か月かけて新しくつくられるといわれている
- 生活習慣を見直したとしても、今日の努力が結果につながるのは3か月以降
すぐに焦らず、まずは小さなことから「3か月続ける」ことを意識してみましょう
精子の質を高める栄養素とサプリメント
「生活習慣を整えるのはわかるけど、サプリとかでサポートできることもあるのかな?」
「うん、妊活中の栄養はとても重要だよ。最近は男性用の妊活サプリも増えてきていて、手軽に取り入れられるのがいいところだね。」
精子の質に関係する栄養素
- 亜鉛:タンパク質・ホルモン合成などに関与する必須ミネラル
- ビタミンC・E:体内の酸化ストレス対策に関与する栄養素
- 葉酸:DNA合成や細胞分裂に関わるビタミンB群の一種
- カルニチン:脂質代謝に関わる化合物。研究報告はありますが、結果には個人差があります
- セレン:抗酸化酵素(グルタチオンペルオキシダーゼ等)の働きに関与
「なるほど…食事だけじゃ補いきれないこともあるから、サプリで補うのもよさそうだね。」
「そうだね。特に忙しい人や偏食気味の人にとって、サプリは栄養補給の選択肢の一つ。効果には個人差があるので、品質や成分表示を確認し、服用中の薬がある場合は医師・薬剤師に相談して選ぶと安心だよ。」
夫婦での妊活に必要なこと
「妊活って、どうしても女性だけが頑張ってる印象があるよね…。俺も奥さんに任せっきりだ…。」
「最初はそういう男性が多いかもね。俺もそうだった。でも中々妊娠しないことに焦って少しずつ知ろうとした。ここまで読んでくれたあなたもそう。ここから始めればいいんだよ。」
「確かに…。奥さん一人で抱え込ませるのはつらいよね。まずは“一緒に知ること”が第一歩かも。」
「そう。妊活期間は話をきくだけでも、気持ちがすごく軽くなるみたいだよ。あと、“自分にできることは何か”を考えて行動できると、それが信頼にもつながると思う。」
夫婦で妊活を乗り越えるために
- 「妊活=女性だけのもの」という思い込みを手放す
- 通院・検査・治療に一緒に参加する意識を持つ
- 生活習慣の見直しを夫婦で取り組む
- 妊活に関する知識を共有する
- 無理をせず、お互いにサポートしあう姿勢を大切にする
- WHO Laboratory Manual for the Examination and Processing of Human Semen, 6th ed. (2021)
- A Review of Semen Analysis: Updates From the WHO Sixth Edition (2024)
-
Causes and Risk Factors for Male Infertility: A Scoping Review (2022)
- Some of the Factors Involved in Male Infertility (2020)
- 一般社団法人日本生殖医学会「Q7.不妊症の検査はどこで、どんなことをするのですか?」
※本情報は研究・ガイドライン等に基づく一般的な参考情報であり、個別の診断・治療・効果を保証するものではありません。

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